2021/10/31

地獄の門番

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2021.10.31にアップしました。

 治療の事前説明では、疑問や不明点についての説明に加え、治療への不安を取り除くため、患者がネガティブと感じる要素についても、納得を得る必要があります。ここは、一般の方にも辛い治療と認識される「抗がん剤治療」を説明する場面で、患者側もある程度の覚悟を持って臨んでいます。そのように重要で、繊細さが求められる場面においても、ここは「地獄の入り口」であり、この先には「ネガティブな要素が満ちている」との主旨で、覚悟の甘さを戒め、治療の厳しさを強調した事前説明をする、女性看護師の方に出会います……

2021/10/26

障害と福祉

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2021.10.26にアップしました。

 身近ではなかった時分の障害者手帳は、支援を受ける権利の証との認識だったが、対象者として決して戻れない深い線で分かたれると、そのボーダーの重さを思い知り、被差別を受け入れた者の「証」という、やっかんだ姿勢で受け入れようとする、引け目や、卑屈さを自覚したりします。
 自信を持てない精神を社会が受け入れるためには、「優劣」を分かつバリアを形骸化させるセーフティネットを提供し、各人が持つ多様性こそ必須の個性と受け止めようとする、社会福祉の考え方が必要ではないかと……

2021/10/14

制御できない体

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2021.10.14にアップしました。

 合併症の危機を脱しICUから一般病棟に移ると、今度は強烈なめまいで動けなくなる症状に襲われます。目の開閉に関わらず、まぶたに焼き付いた虹彩の影が残像のように見え続け、血圧は赤ちゃんレベルまで下がります。数日後には、X線撮影台の上で身動き取れなくなり、ストレッチャーで病室まで運んでもらうことに(ストレッチャーから眺める天井の絵は、TVドラマ『ベン・ケーシー』のオープニングのよう←感心してる場合じゃない!)。その件は瞬く間に病棟中に知れ渡り、「要注意患者」のレッテルが貼られる事に。
 薬の効果が過剰に表れるため、投薬はすぐに中止されましたが、退院後も改善は見られず、現在も不安を抱えたままです。「首周辺には、重要な神経が集中しているから…」は、説明放棄に聞こえてきますし、効果的な対処法も示されないので、「動き出しをゆっくりと」等を心がけるしかないのか……

2021/10/08

ICUへの覚悟

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2021.10.8にアップしました。

 全身麻酔による外科手術後、合併症(手術が原因で発症する病気)の危険性から「高度な状態管理が必要な患者」とされ、24時間モニタリングが可能なICU(Intensive Care Unit:集中治療室)に収容されます。ICUは、「集中治療のために濃密な診療体制とモニタリング用機器、ならびに生命維持装置などの高度の診療機器を整備した診療単位」とされる、重篤な患者を収容する施設ですから、「術後はICUへ」の説明を受け、厳しい状況への覚悟を持つことに。
 正直ビビりましたが、きっぱりと言い渡されたおかげで、こちらもサバサバと受け入れることができました……

2021/10/01

大きな手術

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2021.10.1にアップしました。

 「手術は10時間程度」と耳にし、内訳は様々な作業の積み重ねであるとしても、集中力を10時間持続できるのだろうか? と。周囲が「大きな手術」と表現するように、頸の腫瘍を切除し、腹部から小腸を移植する再建手術は、大がかりな手術とされます。当人は寝てるだけですが、先生方の体力を考えると、これ以上長時間の手術は困難ではないか、とも。
 事前に説明された「声を失うこと」「胸元に気管孔(穴)ができること」「へそ周辺に移植後の縫合跡が残ること」は、理解のとおりでしたが、その周辺がどんな様子なのか、どこが痛むのか、麻酔なのか、しびれなのか、失われた機能・残された機能は 等々、自分の体ながらよくわかりません。どうも変化を前向きに受け止められないらしく、探ろうともせずに、誘われるまま眠りの中へと…………